EUの炭素国境調整措置(CBAM)への
日本企業の対応について(改正されたCBAM規則の内容)

  • 温暖化対策・脱炭素
EUの炭素国境調整措置(CBAM)への<br>日本企業の対応について(改正されたCBAM規則の内容)

 本年(2026年)1月より、EUの炭素国境調整措置(CBAM)の本格実施が開始されました。EU域外から肥料、セメント、鉄・鉄鋼、アルミなどのCBAM対象産品をEU域内に輸入する者は、CBAM申告者としての認定を受けた上で、輸入産品の二酸化炭素(CO2)の埋込排出量に応じたCBAM証書を購入し、翌年、前年1年分の輸入製品の埋込排出量の総量を申告(CBAM申告)すると共に購入したCBAM証書の精算をすることになります。

 本稿では、CBAMの本格実施に向けて、昨年(2025年)末に制定されたCBAM関係規則の概要について説明します。

目次

対象者

 2026年1月以降に、肥料、セメント、鉄・鉄鋼、アルミなどのCBAM対象産品をEU域内に輸入しようとする者は、事前にEU当局に申請して「認定CBAM申告者」となる必要があります。

 ただし、2026年については、CBAM対象産品の年間輸入合計量が50トンを超えない輸入者(以下、「僅少輸入者」と言います。)については、対象から除外されます。

 また、経過措置として、2026年3月までに認定CBAM申告者の認定申請を行った輸入者については、EU当局による認定審査の間、CBAM対象産品の輸入が認められることとされています。

認定CBAM申告者の認定申請

 認定CBAM申告者になろうとする輸入者は、輸入者が所在する国の当局に認定申請を行います。申請に当たっては、EORI番号(EU域内で輸出入や通関手続きを行う際に必要な、企業・個人を識別する固有の登録番号)、関係法令に違反していないことの誓約、会計書類、CBAM対象産品の予定輸入数量等を提出します。

 管轄当局の審査は、申請受理後、原則120日以内に結論を出すこととされています。

 申請が認められた場合、CBAM証書の購入等を行う口座が割り当てられます。

CBAM証書の購入

 認定CBAM申告者は、輸入したCBAM対象産品の埋込排出量に応じたCBAM証書を購入する必要があり、各四半期末の最低購入数が規定されています。最低購入数は、輸入したCBAM対象産品のデフォルト値による埋込排出量又は前年のCBAM証券数の50%とされています。

 ただし、2026年分については、四半期毎の購入ではなく、2027年になってからCBAM証書を購入することとされています。

 後述のCBAM申告の内容から、購入したCBAM証書数に過不足のある場合は、毎年10月31日までに精算する必要があります。11月1日に前年分のCBAM証書は無効となります。

CBAM申告

 認定CBAM申告者は、毎年9月30日までに、前年に輸入したCBAM対象産品の埋込排出量を申告する必要があります。

 申告する埋込排出量の算出に当たっては、実排出量に基づくこと、又は、デフォルト値に基づくこととされています。

 実排出量に基づいてCBAM申告を行う際には、事前にCBAM検証機関による検証を受ける必要があります。

 また、デフォルト値については、生産国別品目別に設定されており、マークアップ率は毎年増加することとされています。

 なお、前駆体の埋込排出量については、品目毎に実排出量とデフォルト値の適用を選択できることとされています。

実排出量の算出

 品目により、直接排出量の算出のみで良いものと、間接排出量の算出も必要なものに分かれています。

 また、経過期間では、品目別に、排出量算出の対象となる生産工程と前駆体が指定されていましたが、本格実施後は、品目別に生産工程の範囲を指定する方式に変更されています。

 例えば、鉄鋼製品については、以下を考慮することとされています。

 「燃料燃焼によるCO2排出及び排ガス処理によるプロセス排出に直接的又は間接的に関連する全工程(再加熱、再溶解、鋳造、熱間圧延、冷間圧延、鍛造、焼きなまし、被覆、亜鉛メッキ、伸線加工、化学洗浄などを含み、鉄鋼製品のメッキ、切断、溶接、仕上げの工程を除く。)」

 認定CBAM申告者が、実排出量に基づいたCBAM申告を行う場合には、輸出した日本企業は、必要なデータを輸入者に提供するか、又は、直接CBAMレジストリに登録することが必要となります。ただし、直接登録する場合には、CBAM検証機関の直接検証を受ける必要があります。

罰則

 必要な数のCBAM証書を購入しなかった場合、認定CBAM申告者ではない者がCBAM対象産品を輸入した場合(僅少輸入者を除く)などは、罰則の対象となるので、注意が必要です。

留意事項

 上述はCBAMをとりまく現状の概略をまとめたものとなっています。あくまでも途中経過の概要説明です。従って、実際にCBAM対応を行う際には、今後のCBAM関連規則改正や欧州委員会の公表資料を確認する必要があります。

(参考文献)

EU議会・理事会規則
 CBAM規則 (EU)2023/956、改正(EU)2025/2083
 改正案(対象品目拡大、迂回防止措置、等)COM(2025)989

欧州委員会実施規則
 [2(2)条関係]  大陸棚及び排他的経済水域  (EU)2025/2210
 [5(8),17(10)条関係]  認定CBAM申告者申請手続 (EU)2025/486, 改正(EU)2025/2549
 [7(7)条関係]  排出量算出方法  (EU)2025/2547
 [7(7)条関係]  デフォルト値 (EU)2025/2621
 [8(3)条関係] 検認原則 (EU)2025/2546
 [14(6)条関係] CBAMレジストリ (EU)2024/3210, 改正 (EU)2025/2550
 [21(3)条関係] CBAM証書価格の算出及び公表 (EU)2025/2548
 [25(6)条関係] 税関当局との情報共有 (EU)2025/2619
 [31(2)条関係] 無償排出枠に関するCBAM証書必要購入数の調整 (EU)2025/2620
 [35(7)(e)条関係] 経過期間 (EU)2023/1773

欧州委員会委任規則
 [18(3)条関係] 検認者認定手続 (EU)2025/2551

 本稿の内容は執筆者の個人的見解であり、当事務所の公式見解ではありません。記載内容の妥当性は法令等の改正により変化することがあります。
 本稿は具体的なアドバイスの提供を目的とするものではありません。
 個別事案の検討・推進に際しては、適切な専門家にご相談下さいますようお願い申し上げます
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執筆者

  • 鶴田 仁

    東京共同会計事務所 事業開発企画室 シニアアドバイザー
    <保有資格>
    通関士有資格者
    安全保障輸出管理実務能力認定 STC Advanced
    <連絡先>
    hitoshi-tsuruta@tkao.com 

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