国境を越えたクロスボーダーの金融取引の流れや、よくある問題についてご案内します。
目次
本稿の執筆者は本文中で言及される活動・サービスに関与している立場であり、
その関係性を開示いたします。本稿は執筆者の実体験および個人的見解に基づく内容であり、サービスのPRを趣旨としたコラムとなります。
送金オペレーションに関連して、少々脱線させていただきます。国内の送金は全銀行が加盟する全銀システムの中で行われるため、ほぼ即時で決済が行われます。(月末や期末で、送金メッセージが大量に送られてくると、銀行のシステム処理に時間がかかるときは、その分の時差は発生します)。
海外への送金の場合は、銀行が前述のSWIFT(国際銀行間通信協会、
以下「SWIFT」)を経由して相手銀行に送金指図を送り、資金は銀行間でまとめて決済されます。これは、送金受付銀行=送金指図発信銀行と資金の受取銀行の間で、送金や為替等のやり取りを行う双務契約(コルレス契約と言います)を締結している場合に限って、やり取りが可能であり、つまり、日本の銀行から海外のあらゆる銀行宛に送金ができるわけでないのです。銀行の実務でいうと、自行がコルレス契約をしていない海外の銀行宛の送金を受け付けると、最終受取銀行がコルレス契約を結んでいる銀行の中から、自行がコルレス契約を締結している銀行を選定します。まずはそこへ送金指図を送り、そこから最終受取銀行に指図を送ってもらうのです。稀ですが、これが複数段階の中継を必要とする場合もあります。「海外送金をしたのになかなか先方に資金が届かない」ということを経験した方もいるかと思いますが、この中継が1つの要因かもしれません。
さらに、送金業務においてAML(アンチマネーロンダリング)の確認も重要になってきています。犯罪やテロ組織に資金が渡らないよう、世界的な制裁国やテロ組織の名前、個人名等がリスト化されており、送金指図の中にこれらのキーワードが入っていると、送金指図は実行されません。送金依頼人にテロや犯罪と関係ないことを証明してもらってはじめて送金指図が実行されます。ちなみに、リスト化されたキーワードは全世界共通ではなく、各国・各銀行で微妙に異なるので、先程の中継が多い送金では、銀行に亘る都度、キーワードチェックと事実確認が行われます。
私が在日外銀時代に耳にしたのは、ある日系商社への海外からの入金取引でした。指図の中に取引の対象となる積荷の給油のための寄港名が入っており、それが制裁対象国で何か月も入金できなかったという事例です。海外への送金が遅れている、なかなか海外から入金しないという場合は、前章の「中継」の他にもこうした事情があるケースも存在しています。
※金融機関がお客さまに「このキーワードはチェック対象なので、入力しないでください」と伝えることは違反行為です。実際に伝えた海外の銀行が、途轍のない額の制裁金を課せられた事例があります。2014年BNPパリバは、米国が金融制裁の対象としたスーダンやイランとの間でドル送金などの金融取引を続け、その事実を隠していました。これらが米国財務省OFAC(外国資産管理室)による経済制裁規制に違反すると認定されて、総額89億ドル(約9千億円)の罰金が科され、さらにドル資金の決済業務の一部も最長1年間禁止されました。
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