日本で提供されている銀行接続の主なサービスを3タイプに分類してそのタイプ毎のサービスの展望と日本財務業務の空洞化に対する備えについてお話しています。
目次
本稿の執筆者は本文中で言及される活動・サービスに関与している立場であり、
その関係性を開示いたします。本稿は執筆者の実体験および個人的見解に基づく内容であり、サービスのPRを趣旨としたコラムとなります。
前回のコラムでは日本が世界をリードしていた時代から、ITという猛烈に進化するデジタルプラットフォームへの世界的な移行に乗り遅れ、諸外国に比べて、特に財務業務のシステム化が大きく出遅れてしまい、財務業務自体がグローバル標準から完全に取り残されてしまっている、という点について触れました。本稿では日本のTMS(Treasury Management System、以下「TMS」)及び財務プロフェッショナルの現在/未来についての展望をお話します。
現在、日本において財務業務(特に銀行接続)に関するシステムを提供しているサービスは大きく分類すると、以下の3タイプが挙げられます。
①金融機関が提供するCMS
②専業ベンダーが提供するERPやTMS
③会計ソフト系のベンチャー企業が提供するスクレイピングタイプ
それぞれの概要と注意点については以下のようにまとめられます。
邦銀/外銀によってそもそもの成り立ちは大きく違いますが、自行の取引を増やす営業ツールという役割としては同じであり、各行の主力商品となることから、国内では非常にメジャーなものとなっています。
一方で金融機関が独自にCMSを開発し運用することは莫大なコストが発生するため、フィンテックの出現によって各行の考え方が変わりつつあります。またマルチバンクやクロスボーダーのニーズは関連する金融機関が増えることになり、各行にとってあまりメリットがないと考えられることから、今後注視する必要があります。
TMSについては、財務業務専門の専業ベンダーが提供をしているため、欧州ではすでに企業と金融機関をつなぐ社会インフラの一部となっており、米国でも急速に拡大しています。そのため国内(特にグローバル企業)で採用されているTMSは外資系のベンダーが中心になっています。TMSに関して注意が必要なのは、メジャーなTMSベンダーが全て外資系企業であるため、どうしてもイグジット戦略に絡んだ話しが付き纏うということです。一般的にIPO(Initial Public Offering)による株式売却やM&A(Mergers and Acquisitions)によるバイアウトによって買収された場合、買収した企業の方針によって既存サービスの内容が大きく変わってしまうことが良くあります。TMSベンダーのイグジットによって想定される影響として、国内のサポートが無くなったり、実装されている機能が減ったり、利用規約が改悪されたりと、せっかく導入したシステムの継続性に何らかの懸念が生じることになります。ちなみに国内でメジャーなTMSベンダー4社のうち3社がイグジットしています。
スクレイピングタイプのサービスは、サブスクリプションで比較的安価なため、中小企業において急速に広がっている状況ですが、金融機関でダイレクトバンキングの主管をしていた立場から申し上げると、対人向けのサービスであるダイレクトバンキングにソフトウェアが人に代わって自動で銀行の基幹システムに接続することになるため、私としては正直違和感が残ります。また各行も本人性確認のためにログイン時の二要素認証(乱数表やワンタイムパスワード、トークン認証など)を求める傾向があるうえ、銀行法等改正などの法整備が行われています。現在国内の上場企業2社が知名度抜群の会計クラウドサービスのオプションとして銀行接続の機能を提供していますが、今後の当該オプション機能と規制強化の動向を注視していく必要があります。
では、今後どうすれば良いのか、ということについて私見になりますが、国内企業にTMSを中心とした財務システムを浸透させて、世界に名だたる財務関連の市場を日本に作ることが急務だと考えます。すでにグローバルでは銀行接続の仕組みとしてTMSが常識となっています。国内にもTMSを導入して活用している企業はありますが、その数は多くありません。金融機関やTMSベンダーなどと協力をして国内の導入/成功事例を増やし世界に発信することで、日本企業のニーズに応えるサービスや機能が提供されることが維持され、それを使いこなす財務プロフェッショナルも日本に集まってくるようになると考えています。資本主義である以上、最終的には資金を握っている財務部門が強いはずです。また、日本の会社であることから、海外の不測の事態に対応する戦略として、日本に資金と指揮系統を集中させておくことも必要になってきます。にもかかわらず、現状は国内の財務プロフェッショナルは絶滅危惧、財務業務も旧態依然、システム化すらなっていない状況のため、日本の本社のCFOや財務部門の発言力は弱まり、経営判断自体が海外へ流出しつつあり、このままでは国内に財務プロフェッショナルが根差す以前に、生まれる環境自体が無くなってしまうのではないかと危惧します。
【PR】東京共同グループの一員である株式会社東京共同ホールディングスではTCJ(Treasurers Club of Japan)として活動し、クライアントの財務管理高度化支援を行っています。支援を通じて財務プロフェッショナルのネットワークを構築して国内/海外の財務高度化の成功事例を多くの方々と共有することに貢献し、そしてできるだけ多くの日本企業にTMSなどのシステムを活用いただき、財務業務を早々にグローバル標準にキャッチアップいただくー再び日本企業が世界をリードする未来を目指しサービス提供を行っています。
執筆者のご紹介

元BELLIN/FIERTE マネージャー
元キリバジャパン KJUG常任理事
吉田 英樹
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