金融子会社でシステムの重要性を学ぶ

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金融子会社でシステムの重要性を学ぶ

9月1日にCFO協会セミナーのテーマでもあります「財務」プロフェッショナルの絶滅危惧種化」の一因として、システムの導入がカギを握るという点について触れています。

目次

本稿の執筆者は本文中で言及される活動・サービスに関与している立場であり、
その関係性を開示いたします。本稿は執筆者の実体験および個人的見解に基づく内容であり、サービスのPRを趣旨としたコラムとなります。

金融子会社の業務は銀行CMSでシステム化

 米国金融子会社の設立(1984年)には幸運があったと以前のコラムで述べたことがありましたが、当時米銀の提供するキャッシュマネジメントシステム(CMS)が存在しなければ金融子会社のオペレーションに必要で面倒な作業をすべて手作業で行うのは難しかったと思います。しかし、通信子会社の中ですでに成功モデルを経験していたことから、その延長で考えれば決断はそれほど難しくありませんでした。資金調達コストの低減では銀行保証でのコマーシャルペーパーの発行で実現できる見通しがつき、優秀なローカル人材の採用も目処が立てば、あとはシステム面での機能拡大を活用することになります。

 本章では80年代当時のチェース・マンハッタン銀行(現在のJPモルガン銀行)のCMSの主要な機能(モジュールと呼びます)を紹介します。

 ①残高・取引情報モジュール

 ②送金管理モジュール

 ③資金調達・運用管理モジュール

 ④資金繰り管理モジュール

 上記の4つのモジュールを活用して
 ⑤デイリー・キャッシュポジション・モジュール

に日々の資金の過不足が計算され意思決定が行われます。

 不足資金はコマーシャルペーパー、または短期的な不足ならばオーバーナイトでの借入で賄い、余剰資金はオーバーナイトの運用に回すことになります。非常に機械的な判断を行えるため、私自身が関与する必要が無いことが最も重要な点です。現在のようにリモートでのアクセスができる時代ではありませんでしたが、システム装備が十分で機械的な判断であればローカルのスタッフに十分任せられるという仕組みです。複雑になったとはいえ、現在でも海外子会社の資金についてはシステム化・自動化を徹底して進め、モニタリングを行い、不正が入り込む隙を与えないことが必要なのです。

システム活用なくして自動化は不可能

 金融子会社においてはスタッフは最小限で、システムが主役と言っても過言ではありません。米国で経験した自動的に資金を集中配分するプーリングなどは、その後日本でも取り入れられ2000年に発生したいわゆる「会計ビッグバン」という会計基準の改革の中で連結会計の導入時に大きなブームとなり、日系銀行のメインサービスにもなりました。

 米銀の提供するCMSにとどまらず、貿易金融のための管理システムの開発も行いました。これはグループファイナンスの収益だけでなく、本社が米国子会社に輸出する製品の貿易金融に対しても、間に入り割引決済を通じて貿易ファイナンスをするものです。送金ベースでの決済であれば簡単なようですが、銀行でない金融子会社の場合は、源泉税の問題が出てくることが分かり、銀行経由でのD/A(Documents against Acceptance)決済として対応することが最適と判断しました。米国子会社宛てにユーザンス付きの取立手形が届くと、金融子会社が手形を割引決済することで、日本側(本社)では輸出して割引料を銀行に支払うことで完結しますので表面は変わりません。しかし、ファイナンスしているのが今までの日系銀行ではなく米国の金融子会社になるということで、銀行に支払っていたマージンを金融子会社の収益に変えたということです。簡単なシステム開発ですが外部のシステム会社を使って行いました。その後は、CMSのモジュールで機能を代替できることになりました。このようにシステム導入・活用においては外部リソースを活用することが重要です。現在の日本企業の課題は、例えば資金の見える化の初めの一歩の銀行接続であっても、財務プロフェッショナルが絶滅危惧種となっている状況で外部リソースを活用できないことにあると考えます。

 

財務プロフェッショナルが絶滅危惧種と考える主な要因

 80年代当時であっても、CMSには資金管理業務に必要な機能はすべて揃っていたと言えます。CMSなしで手作業により計算業務や資金移動を行うとすれば、誰もトレジャリープロフェッショナルになろうとは思わないのではないでしょうか。さらに言うと、現在の財務業務がシステム装備されずExcelでのマニュアル管理であれば誰もその分野のプロになりたいとは思わないでしょう。これが日本の財務プロフェッショナルが絶滅危惧種となっている原因ではないかと思います。財務のDXについて真剣に考えなければなりません。

執筆者のご紹介

一般社団法人CFO協会
主任研究員 
大田 研一

本稿の執筆者は本文中で言及される活動・サービスに関与している立場であり、その関係性を開示いたします。本稿は執筆者の実体験および個人的見解に基づく内容であり、
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