移転価格税制とは、日本の法人が国外関連者との間での取引(以下、「国外関連取引」)において、取引価格を通常の取引価格(※)と異なる金額に設定すれば、一方の利益を他方に容易に移転することが可能となり、このような国外関連取引を通じた所得の海外移転を防止するため、国外関連者との取引が独立企業間価格で行われたものとみなして所得を計算し課税する制度です。日本では、国外関連取引を通じた所得の海外移転を防止し適正な国際課税を実現することを目的として、1986年の税制改正に伴って導入されました。

移転価格税制の原型が生まれたのは20世紀前半のアメリカにまで遡りますが、現在では、多国籍企業グループに関する移転価格およびそれに関連する税務上の取扱いについては、経済協力開発機構(OECD)の租税委員会が中心となり「OECD移転価格ガイドライン」として取りまとめており、当該ガイドラインは、納税者と税務当局との双方に向けられた移転価格税制に関する国際的な指針として機能しています。

※移転価格税制上、国外関連取引は独立企業間価格で行われていることが求められます。独立企業間価格とは、国外関連取引と同様の状況下において、独立した第三者と同種の取引が行われた場合に成立すると認められる取引価格をいいます。

(参考)国税庁「OECD租税委員会による「OECD移転価格ガイドライン2022年版」の公表について(令和4年1月)

本用語集は2025年5月1日現在の法令等に基づいて作成しております。これ以降の税制改正等が反映されていない場合がありますのでご留意ください。また、本用語解集は具体的なアドバイスの提供を目的とするものではありません。個別事案の検討・推進に際しては、適切な専門家にご相談くださいますようお願い申し上げます。
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