令和6年度税制改正
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令和6年度税制改正<br>ニュースレター

 2023年12月14日に、与党より「令和6年度税制改正大綱」が公表されました。
 この大綱をもとに、令和6年度税制改正に関してSPCの税実務に関連すると思われる項目を抜き出して纏めましたのでぜひご一読ください。

令和6年度税制改正の基本的な考え方

防衛力強化に係る財源確保のための税制措置

 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置については、令和5年度税制改正大綱に則って取り組む。なお、たばこ税については、加熱式たばこと紙巻たばことの間で税負担の不公平が生じている。同種・同等のものには同様の負担を求める消費課税の基本的考え方に沿って税負担差を解消することとし、この課税の適正化による増収を防衛財源に活用する。その上で、国税のたばこ税率を引き上げることとし、課税の適正化による増収と合わせ、3円/1本相当の財源を確保することとする。

個人所得課税

金融・証券税制

(1)
金融機関等の受ける利子所得等に対する源泉徴収の不適用の適用対象に、電子記録移転有価証券表示権利等に該当する社債等であって、金融商品取引業者等によって一定の要件を満たす方法により管理されるものの利子等を加える。

【関連条文:租税特別措置法第8条】

その他

(1)
支払調書等の電子情報処理組織(e-Tax)を使用する方法等による提出義務制度について、提出義務の対象となるかどうかの判定基準となるその年の前々年に提出すべきであった支払調書等の枚数を30枚以上(現行:100枚以上)に引き下げる。

(注)上記の改正は、令和9年1月1日以後に提出すべき支払調書等について適用する。
【関連条文:所得税法第228条の4】

資産課税

租税特別措置等

〈印紙税〉

(1)
不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例措置の適用期限を3年延長
(令和9年3月31日まで)する。

【関連条文:租税特別措置法第91条】

〈不動産取得税〉

(2)
宅地評価土地の取得に係る不動産取得税の課税標準を価格の2分の1とする特例措置の適用期限を3年延長(令和9年3月31日まで)する。

【関連条文:地方税法附則第11条の5第1項、第2項】

(3)
住宅及び土地の取得に係る不動産取得税の標準税率(本則4%)を3%とする特例措置の適用期限を3年延長(令和9年3月31日まで)する。

【関連条文:地方税法附則第11条の2】

(4)
新築住宅特例が適用される住宅の用に供する土地に係る不動産取得税の減額措置(床面積の2倍(200 ㎡を限度)相当額等の減額)について、土地取得後から住宅新築までの経過年数要件を緩和する特例措置の適用期限を2年延長(令和8年3月31日まで)する。

【関連条文:地方税法附則第73条の24第1項、地方税法附則第10条の3第2項】

法人課税

地域・中小企業の活性化

(1)
交際費等の損金不算入制度について、次の措置を講じた上、その適用期限を3年延長
(令和9年3月31日まで)する。

①損金不算入となる交際費等の範囲から除外される一定の飲食費に係る金額基準を
 1人当たり1万円以下(現行:5,000円以下)に引き上げる。

②接待飲食費に係る損金算入の特例及び中小法人に係る損金算入の特例の適用期限を
 3年延長(令和9年3月31日まで)する。

(注)上記①の改正は、令和6年4月1日以後に支出する飲食費について適用する。
【関連条文:租税特別措置法第61条の4第1項、第6項】

(2)
外形標準課税

①減資への対応

イ.
外形標準課税の対象法人について、現行基準(資本金又は出資金(以下単に「資本金」という。)1億円超)を維持する。ただし、当分の間、当該事業年度の前事業年度に外形標準課税の対象であった法人であって、当該事業年度に資本金1億円以下で、資本金と資本剰余金(これに類するものを含む。以下単に「資本剰余金」という。)の合計額(以下「資本金と資本剰余金の合計額」という。) が10億円を超えるものは、外形標準課税の対象とする。

ロ.
施行日以後初に開始する事業年度については、上記イにかかわらず、公布日を含む事業年度の前事業年度(公布日の前日に資本金が1億円以下となっていた場合には、公布日以後初に終了する事業年度)に外形標準課税の対象であった法人であって、当該施行日以後初に開始する事業年度に資本金1億円以下で、資本金と資本剰余金の合計額が 10 億円を超えるものは、外形標準課税の対象とする。

ハ.
その他所要の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、令和7年4月1日に施行し、
   同日以後に開始する事業年度から適用する。

②100%子法人等への対応

イ.
資本金と資本剰余金の合計額が50億円を超える法人(当該法人が非課税又は所得割のみで課税される法人等である場合を除く。)又は相互会社・外国相互会社(以下「特定法人」という。)の100%子法人等のうち、当該事業年度末日の資本金が1億円以下で、資本金と資本剰余金の合計額(公布日以後に、当該100%子法人等がその100%親法人等に対して資本剰余金から配当を行った場合においては、当該配当に相当する額を加算した金額)が2億円を超えるものは、外形標準課税の対象とする。

(注)上記の「100%子法人等」とは、特定法人との間に当該特定法人による法人税法に
   規定する完全支配関係がある法人及び
   100%グループ内の複数の特定法人に発行済株式等の全部を
   保有されている法人をいう。

ロ.
上記イにより、新たに外形標準課税の対象となる法人について、外形標準課税の対象となったことにより、従来の課税方式で計算した税額を超えることとなる額のうち、次に定める額を、当該事業年度に係る法人事業税額から控除する措置を講ずる。

(イ)令和8年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度 当該超える額に
  3分の2の割合を乗じた額

(ロ)令和9年4月1日から令和10年3月31日までの間に開始する事業年度 当該超える額に
  3分の1の割合を乗じた額

ハ.
その他所要の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、令和8年4月1日に施行し、
   同日以後に開始する事業年度から適用する。
【関連条文:地法税法第72条の2】

2.その他の租税特別措置等

(1)
中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻しによる還付制度の不適用措置について、その適用期限を2年延長(令和8年3月31日まで)する。

【関連条文:租税特別措置法第66条の12】

(2)
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象法人から電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により法人税の確定申告書等に記載すべきものとされる事項を提供しなければならない法人のうち常時使用する従業員の数が300人を超えるものを除外した上、その適用期限を2年延長(令和8年3月31日まで)する(適用期限の延長は、所得税についても同様とする。)。

【関連条文:租税特別措置法第67条の5】

(3)
電気供給業を行う法人の事業税の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に、発電事業者が一般送配電事業者による託送供給により電気の供給を行う場合において当該託送供給の料金として支払うべき金額(発電側課金)に相当する収入金額を追加する課税標準の特例措置を2年間に限り講ずる。

【関連条文:地法税法第72条の24の2第1項】

(4)
電気供給業を行う法人の事業税の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に、小売電気事業者等が容量市場において広域的運営推進機関に支払うべき金額及び一般送配電事業者等が電源入札等において広域的運営推進機関に支払うべき金額に相当する収入金額を追加する課税標準の特例措置を3年間に限り講ずる。

【関連条文:地法税法第72条の24の2第1項】

(5)
電気供給業を行う法人の事業税の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に、卸電力取引市場において売却した電気を自ら購入する場合において当該電気の料金として支払うべき金額に相当する収入金額を追加する課税標準の特例措置の適用期限を3年延長する。

【関連条文:地方税法附則第9条第19項】

消費課税

国外事業者に係る消費税の課税の適正化

(1)
事業者免税点制度の特例の見直し

①資本金1,000万円以上の新設法人に対する納税義務の免除の特例について、
 外国法人は基準期間を有する場合であっても、
 国内における事業の開始時に本特例の適用の判定を行う。

②資本金1,000万円未満の特定新規設立法人に対する納税義務の免除の特例について、
 本特例の対象となる特定新規設立法人の範囲に、
 その事業者の国外分を含む収入金額が50億円超である者が直接又は間接に支配する
 法人を設立した場合のその法人を加えるほか、
 上記①と同様の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、令和6年10月1日以後に開始する課税期間から適用する。
【関連条文:消費税法第12条の2、第12条の3】

(2)
簡易課税制度等の見直し

 その課税期間の初日において所得税法又は法人税法上の恒久的施設を有しない国外事業者については、簡易課税制度の適用を認めないこととする。また、適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置の適用についても同様とする。

(注)上記の改正は、令和6年10月1日以後に開始する課税期間から適用する。
【関連条文:消費税法第37条、28年改正法附則第51条の2】

その他

(1)
高額特定資産を取得した場合の事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用を制限する措置の対象に、その課税期間において取得した金又は白金の地金等の額の合計額が200万円以上である場合を加える。

(注)上記の改正は、令和6年4月1日以後に国内において事業者が行う金又は
   白金の地金等の課税仕入れ及び保税地域から引き取られる金又は白金の
   地金等について適用する。
【関連条文:消費税法第12条の4、第37条第2項】

(2)
適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置について、一の適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れの額の合計額がその年又はその事業年度で10億円を超える場合には、その超えた部分の課税仕入れについて、本経過措置の適用を認めないこととする。

(注)上記の改正は、令和6年10月1日以後に開始する課税期間から適用する。
【関連条文:28年改正法附則第51条の2】

(3)
一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除が認められる自動販売機及び自動サービス機による課税仕入れ並びに使用の際に証票が回収される課税仕入れ(3万円未満のものに限る。)については、帳簿への住所等の記載を不要とする。

(注)上記の改正の趣旨を踏まえ、令和5年10月1日以後に行われる上記の課税仕入れに係る帳簿への住所等の記載については、運用上、記載がなくとも改めて求めないものとする。
【関連条文:消費税法施行令第49条第1項】

(4)
簡易課税制度又は適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置を適用する事業者が、令和5年10月1日以後に国内において行う課税仕入れについて、税抜経理方式を適用した場合の仮払消費税等として計上する金額につき、継続適用を条件として当該課税仕入れに係る支払対価の額に110 分の10(軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には、108分の8)を乗じた金額とすることが認められることを明確化するほか、消費税に係る経理処理方法について所要の見直しを行う。

【関連条文:法人税個別通達「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」】

国際課税

外国子会社合算税制等の見直し

(1)
内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(いわゆる「外国子会社合算税制」)におけるペーパー・カンパニー特例に係る収入割合要件について、外国関係会社の事業年度に係る収入等がない場合には、その事業年度における収入割合要件の判定を不要とする。

【関連条文:租税特別措置法第66条の6】

その他

(1)
対象純支払利子等に係る課税の特例(いわゆる「過大支払利子税制」)の適用により損金不算入とされた金額(以下「超過利子額」という。)の損金算入制度について、令和4年4月1日から令和7年3月31日までの間に開始した事業年度に係る超過利子額の繰越期間を10年(原則:7年)に延長する。

【関連条文:租税特別措置法第66条の5の3】

※出典:自由民主党 公明党「令和6年度税制改正大綱(令和5年12月14日)

なお、本稿の内容は執筆者の個人的見解であり、当事務所の公式見解ではありません。記載内容の妥当性は法令等の改正により変化することがあります。
 本稿は具体的なアドバイスの提供を目的とするものではありません。個別事案の検討・推進に際しては、適切な専門家にご相談下さいますようお願い申し上げます。
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